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後継者へ、どう引き継げばよいか、教えてください

 

Q,私は会社を経営しており、この度息子に株式の売却をしようと思っています。私の会社は売上も従業員も同業他社に比べ多い方であるので、大会社であると思っています。大会社である場合の評価は類似業種批准価額によると聞いたので、類似業種批准価額により、売却価額を算定しました。

<失敗のポイント>
顧問税理士より、自社株の評価にあたっては、会社の規模や特定の会社に該当するかどうかの判定をする必要がある旨の指摘をうけました。会社規模は同業他社と比べて売上や従業員数が多いだけでは大会社とならず、売上や従業員数が一定の数以上となっていなければなりません。また、特定の会社に該当する場合には原則として、純資産価額により評価することとなります。

<正しい対応>
株価を算定する場合には自社の会社規模の把握や特定の会社に該当するかどうかの判定をする必要があります。

<税法等の解説>
原則的評価方式による評価は、以下の流れに沿って行います。

(1) 会社規模の判定
会社規模は、評価会社の「従業員数」「純資産価額(帳簿価額)」「取引金額(売上高)」により判定し、大会社、中会社、小会社に区分します。

会社規模の判定は、一般的に下記の班定評により行います。
はじめに「従業員数」による判定です。従業員数が100人以上の場合は無条件に大会社となります。しかし、100人未満の場合は、総資産価額と組み合わせて判定を行っていきます。
具体的には、まず「総資産価額」と「従業員数」とのいずれか小さい方の区分を判定します。その後、「取引金額(売上高)」とのいずれか大きい区分により、判定された会社規模がその会社の規模となります。
では、具体例で見てみましょう。
例えば、業種が小売業であるA社(従業員数45人、総資産額8億円、売上高18億円)の場合、従業員数は100人未満ですので、総資産価額と従業員数との判定を行います。小売業ですので、総資産額は7億円以上10億円未満の欄に該当します。結果として、従業員数の区分が小さい方の区分に該当します。次に、取引金額(売上高)ですが、小売業の場合、12億円以上20億円未満の欄に該当します。ここでは、先に判定した従業員数の欄と比較して、いずれか大きい方の区分となりますので、取引金額(売上高)の区分が選択され、結果としてA社は、中会社の大の会社規模と判定されます。

(2) 特定会社の判定
特定会社とは、比較用素数1の会社・株式保有特定会社・土地保有特定会社・開業後3年未満の会社・直前期末をもとに3要素ゼロの会社・開業前または休業中の会社・清算中の会社をいいます。
特定会社に該当する場合には、会社規模により評価方法が異なります。大会社の場合、類似業種批准価額で評価し、中会社、小会社の場合は、類似業種批准価額と純資産価額を折衷して評価します。会社規模により、この折衷する割合に違いがあります。なお、これらの評価額と純資産価額とを比べて、低い方の価額により評価することもできます。
例えば、先ほどのA社(特定会社に該当しません)のケースです。
株式評価額は、類似業種批准価額が3000円、純資産価額が10000円とします。
A社の会社規模は、「中会社の大」に該当しますので、「類似業種批准価額×0.9+純資産価額×0.1」と「純資産価額」のいずれか低い方の評価額となります。

計算式にあてはめますと、Asha の株式評価額は以下のようになります。
(1) 3000円×0.9+10000円×0.1=3700円
(2) 10000円
(3) (1)<(2) ∴3700円

一般的に、類似業種批准価額の方が純資産価額よりも低い場合が多く、会社規模が大きいほど類似業種批准価額の割合を多く使用できるため、株式の評価が低くなる可能性があります。

<ポイント>
一般的に、類似業種批准価額の方が、純資産価額よりも低い場合が多く、類似業種批准価額の使用割合が大きいほど、自社株の相続税評価額は低くなると考えられます!

事業承継税制の背景について説明してください

 

自社株式にかかる相続税負担は会社の存続にかかわる問題であり、オーナー一族個人の問題ではありません。大株主が経営者となっている中堅・中小企業では、経営者の相続によって次の4つのような問題が生まれ、事業の継続・発展に大きな影響を与えることになります。
1.会社による自社株式の買取り
相続税の納税資金を確保するために後継者が有する自社株式を会社に買い取らせるケースがありますが、それによって会社の内部留保が流出して設備投資資金や運転資金がひっ迫する事態に陥る可能性があります。
2.不動産等の事業用資産の売却
多くの経営者が個人資産である不動産を会社に貸付しており、相続税の納税資金を確保するのに後継者が相続した不動産等を第三者に売却した際には会社の事業経営が危うくなる危険性があります。
3.事前の相続対策
会社の業績が伸びるほど株価は上昇し相続税の負担も増えるため、事業活動を抑制して株価を下げるという不合理な企業行動を招く可能性があります。また、相続税の納税資金の確保のために高額な役員報酬や退職金の支給が考えられますが、事業活動に影響を及ぼすだけでなくほかの株主や従業員の理解を得ることができない場合があります。
4.経営者の個人保証・担保提供
経営者が会社の借入に対して個人保証をおこなったり、会社に運転資金の貸付をしていることが多くあるため相続税に見合った預貯金がたとえあっても、現在および将来の会社経営のため一定の預貯金の確保が相続税の納税を困難にする一因となります。
上記のような事業継承の問題に対して、経営承継円滑法(中小企業の経営承継の円滑化に関する法律)で後継者による経営権確保を支援するために遺留分について特別規定ができています。また、非上場株式にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)では、後継者が得た自社部式にかかる相続税・贈与税の負担が軽減されます。

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